子ども・育児

育児休業取得までの道のり~職場編~

育児休業取得に関して、
肝心の職場の人たちと、どうコミュニケーションをとっていくと良いかは、
一概には何とも言えません。ワタクシの例は、あくまで一例として、こんな進め方をしましたという参考程度にご覧ください。

ワタクシは、病院のリハビリテーション科に勤務しています。
リハビリというのは、
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
という3種類の職種で構成されていますが、人数比は
理学療法士 > 作業療法士 > 言語聴覚士
の順で、
言語聴覚士が最も人数が少ないのが一般的です。
私は、一番少ない言語聴覚士ですが、
施設にもよりますが、
配属人数は、少ないと1人という所もありますし、
3~4人程度という所が多いかもしれません。

ワタクシの職場は、幸いにして人数には恵まれていて、
リハビリ科全体で50人程度。
言語聴覚士は、9人という大所帯です。
科自体が比較的若い年齢層で構成されていて、
ワタクシは、経験年数も実年齢も上から数えた方が早い上、
役職もいただいているので、いわゆる中間管理職的な位置づけでもあります。
ここ数年で、言語聴覚士に限らずリハビリ科全体が一気に人数が増えてきたという印象です。

また、昨今の働き方改革のあおりもあって、
残業の軽減はじめ、
あれこれと働きやすさについては敏感になっているところでもありました。
なので、
「育休をとりたい」という希望も、
比較的言い出しやすい環境であったのはありがたかったです。

ただ、男性職員の育休取得は、職場全体でも過去に1人あっただけ。
自分の部署では初めてということで、
だれもがあまり経験のないことをお願いするという点で、
いろいろと配慮が必要だと思われました。
そのため、何よりも心がけたのは、
「早め、早め」に動くということです。

 

◎妊娠の報告と育休取得の希望
クリニックでの診察で、妊娠が分かった時点で、上司とごく近しい同僚には状況を説明しました。と同時に、この時点で育休取得の希望を申し出ました。

妊娠の報告のタイミングについては、さまざまな考え方があると思いますが、
特に職場に対しては、
なるべくリアルタイムで状況を報告しておくことが無難であろうと思いました。
つわりにせよ何にせよ、妻が不調になったり、あるいは妊娠中のトラブル、
さらには妊娠初期での流産のリスク等も含め、
早い時期にこそ、いろいろな心配がついて回ります。

全体に公言することは、安定期に入ってからでも良いだろうとは思いますが、
仕事に関して、場合によってはあれこれ配慮をお願いしなくてはならないことを考えると、
現在どういう状況かということを、上司や近い同僚には伝えておくようにしました。
その上で、育休取得の具体的な期間などは、改めて相談したいと伝えました。

◎育休取得期間の相談
これは、まず自分(と妻)の意見が定まっていることが前提で、
職場に対して「どれくらい育休取っていいですか?」という聞き方ではなく、
「いつから、いつまでの育休取得を希望する」と伝えた上で、
細かな業務調整等含め、それが妥当かどうかを相談するようにしました。

ワタクシの場合、出産予定日が10月初旬。
いつから育休に入るかが一番の悩みどころでした。
「育児」という観点から言えば、出産直後こそ、いろいろと人手がいるところでもあり、
すぐに休みに入れることが望ましいように思います。
ただ、予定通りに事が進むとは限りません。
「仕事」という観点から言えば、ある程度、いつからいつまで、と明確になっていた方が、
引き継ぎ等に関しては動きやすいように思います。

結局、
妻とも相談し、出産予定日より少し後から育児休暇を取りたいと希望することにしました。
具体的には、

出産予定日   :10月8日
育休開始(希望):11月1日

1か月ほどの開きがあります。
予定日通りの出産でも約1か月。
もし、早まったりした場合には、もう少し長く、時間が空くことになってしまいます。

ただ、
目標地点が明確であれば何とか頑張れるかな、ということと、
もし、不測の事態になった場合には、また相談するかもしれないと伝えておこう
ということで、夫婦の間ではまとまりました。

実際、妊娠期間中は、胎児の発育がゆっくりだと指摘されたり、ハイリスク要因があることから、
かかっていたクリニックから地域の市民病院に紹介転院したということもあり、
いろいろと心配な経過ではありましたので、
「もしかしたら…」ということも含めて、上司等には適宜相談をするようにしました。

◎具体的な仕事の引継ぎ
同じ仕事をする近しい同僚数人には、ごく初期の段階から、
妻の妊娠と育休取得の希望を申し出ていました。
が、
具体的に調整に入り始めたのは、育休取得予定の3か月ほど前からでした。
ワタクシが、チームのリーダー的な役割にあり、管理職でもあったので、
1)不在時の連絡指示系統の確認
2)人員の配属
を、どういう方針で進めるかを、8月半ばぐらいに協議して方針を定めました。

チーム(言語聴覚士9名)を、どのような部署に配属し、連絡指示のルートを明確にしました。
9名を、1人の管理職がすべて把握するのは、なかなか難しいところがあり、
大きく2つのグループに分けて編成していますが、その再編を行いました。
病院のリハビリの特徴かもしれませんが、
病棟や診療科などで、おおよその担当分野が決まります。
本来なら、あれもこれも、どんな患者さんでも対応できることが何よりではありますが、
動線が複雑になり時間のロスも大きくなるので、なるべく効率的に動ける配属を心がけています。
その、配属ごとに、2つ(4人ずつ程度)の小グループに分けて、そのグループのリーダーが、各員の業務状況を把握してもらうように
調整をしました。

◎事務担当者との手続きの確認
実は、ここが一番今回大変だったことでした。
大変、というよりも、自分自身が「どうしていいかわからない」という状態で、
右往左往していました。
大前提として、今年はコロナの影響もあって、
総務課は、てんてこまい。大変忙しいイレギュラーな状態だったことがあります。

そこに来て、男性職員の育休取得という、ある意味特殊な事例が舞い込んできたので、
対応の時間をとってもらうのに苦慮しました。
時間さえとってもらえれば、あとは言われた通りに書類を準備するだけでしたが、
結局、ギリギリになってのことだったので、
「本当に11月から育休取れるのだろうか…」と不安になっていましたが、
結果オーライです。

全体を総じて
育休取得そのものには、大きな弊害はなかったので、
それはとてもとてもありがたかったです。

が、
前例が極めて少ない中、育休を取得するにあたり、
「男性の育休」=『ああ、めんどくさいやつ』
のような意識を持たれないように、という意識はありました。

部署自体がまだまだ若い人員が多く、
これから結婚、出産を経験していくという後輩も少なくありません。
男性職員が育休をとるという選択肢を、
ネガティブなイメージとして広げない責任があるだろうと思います。

手続き云々はともかく、
そのあたりはやはり、人と人とのコミュニケーションが大切だと思います。
前例を、良いイメージで作ることで、
後に続く人が、育休の取得を、積極的に選択できる土壌を作れたらと思っています。

ABOUT ME
ひび たかまさ
1981年11月生まれ。 言語聴覚士、旅行介助士、公認心理師、お寺の副住職、消防団員、合唱指揮者。病院勤務時代、第3子の誕生を期に5か月の育児休暇を取得。大いに自らの価値観が見直されるきっかけになった。 2022年、病院を退職し、個人事業として開業。病院・訪問リハビリ・塾講師などを兼務しながら、失語症者の支援が自分の主な役割だと感じている。
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