ST/言語聴覚士

【注目!】高次脳機能障害があっても、旅行に行きたい!をかなえるために準備しておくと良いこと

皆さんにとって「旅行」って、どんなものですか?

・自分にご褒美

・年イチの楽しみ

・大事な人との思いでづくり

・趣味

いろんな「旅行」がありますよね。

脳卒中や、脳外傷などによる後遺症「高次脳機能障害」というのは、単独の症状の事を指すのではなくて、様々な症状の集合体です。

・失語症

・注意障害

・構成障害

・遂行機能障害・・・

など。それぞれの解説は別の記事にゆずるとして、脳にダメージを負う事で、今まで当たり前に出来ていたことが、思うようにできなくなってしまう事があります。

そんな時、どうしても

・自身がない

・どうせ楽しめない

・迷惑をかけるにきまってる

といったように、旅行や外出までをもあきらめていませんか?

また、

「・・・できるようになったら、その時こそ旅行に行くんだ!」

と強い願いを込めてリハビリを頑張っている方もあるかもしれません。

ここでは、そんな方々に
「リハビリ旅行」のススメということで、何を準備すれば良いのかをご紹介します。

「旅行は、リハビリになる」

普段の生活環境とは、違う場所にいくこと。

それは、確かに不安な事でしょうし、当然、予測できない分、リスキーでもあります。

が、新しい環境に身を置くことで気づくことや、気持ちがリフレッシュできることで、日々の生活にもエネルギーが湧いてくるという事があります。

楽しくて、リハビリにもなる。

コロナもいよいよ5類になって、行動制限が緩和されてきた今こそ、
旅行に出かけようではありませんか!!

とはいえ、旅行デビューでいきなり7泊8日の海外旅行!

というのは、いかにも大掛かりで、体もあたまもびっくりしそうですので、徐々に慣らしていきましょう。

例えば、電車に乗って、〇〇駅から、△△駅まで行って、コーヒーを飲んで帰ってくる。

これも、ある意味では旅行ですよね。

「非日常」の体験。

それが旅行の醍醐味です。

高次脳機能障害のリハビリのための外出(小旅行)において、必要なものは何でしょう?

1)下調べ

2)感覚遮断のための防御具(耳栓、サングラス、深めの帽子など)

3)緊急連絡先

1)下調べ

これはもちろん、普通の旅行でも大切な事ではありますが、下調べをした上で、

「行程表」

を作成するのが、とても有効です。

しかも、できればプリントアウトして紙媒体で持っておくのが良いです。

高次脳機能障害の当事者さんにとって、「臨機応変」とか「とっさの判断」というのは、とてもとても苦手とするところです。また、事前に見通しを持てて、不安になったらすぐに見返せるということがとても大事です。

ご家族など、同行してくださる方が下調べをして計画を立てるにしても、行程表を作ってお渡しし、一緒に見ながら動くことができるというのは、とても大切です。

その中で、トイレ休憩についても、必ず予定に入れておきましょう。

感覚遮断のための防御具

旅行は、楽しいですがとても疲れます。

観光地にせよ、駅や電車・バスの中などにせよ、喧騒と予測できない人や車の動きは、耳と目から次々に刺激として降り注ぎ、頭はパンクしそうになるかもしれません。

そんな時に、入ってくる刺激を防ぐ(和らげる)アイテムを持っておくことは、ご自身を守るためにもとても重要です。

耳栓


睡眠用耳栓 完全遮音 安眠 聴覚過敏 遮音値40dB 飛行機 仕事 勉強 水洗い可能 繰り返し使用可能 1ペア(ブラック)

サングラス


[レイバン] サングラス male 0RB2140F WAYFARER 901 G-15 GREEN 52

帽子


[Loo&c] [ルーアンドシー] 帽子 大きいサイズ こだわり深めキャップ レディース 接触冷感 紫外線対策 uvカット 綿100% キャップ サイズ調整 オールシーズン CAP【フリー(56-59cm)-ベージュ】

などはその代表格。
自動的にどんどんと降り注ぐ様々な刺激を遮断して、頭と気持ちを休憩させるためのアイテムです。意外と知られていませんが、とても大切なアイテムなので、旅行などの特別な外出時に限らず、日常使いができるものをぜひ用意しておくと良いと思います。

緊急連絡先

最終的に、SOSを送る手段は、絶対に確保しておきましょう。

・はぐれた時に、どうするのか
 (探し回らずに、最も近くにある喫茶店に入って待つ、などルールを決めておく)

・スマホの充電は、かならず確認
  命綱です。
  

・周りの人に助けてもらうためのメモを作っておく
 例「私は、失語症でうまく話ができません。家族とはぐれてしまいました。
   000-0000-0000
   に電話をして、現在地を伝えてもらえませんか」

これらの対策は、その場で右往左往するのは非常に困難です。
「こういう時は、こうする」を、予め決めておきましょう。
なんなら、予行演習しても良いくらいです。
また、SOSカードは、状況説明をその場でしなくても良くなる分、助けてもらうためのハードルが一気に下がります。

道行く人に声をかけるのは勇気がいるかもしれませんが、コンビニや、ファーストフード店など、お店に行ってカードを渡せば、必ず助けてもらえます。

焦らずに、どう周囲の人に助けてもらうのかを準備しておきましょう。

岐阜県では、

失語症意思疎通支援事業

という、失語症の方の外出支援のサービスが始まっています。訓練を受けた、意思疎通支援者や言語聴覚士が、外出のお手伝いをするサービスです。

診察や、お買い物などの日常的な外出に支援者の派遣を受けてみるというのも、一歩踏み出す、きっかけになるかもしれません。

ABOUT ME
ひび たかまさ
1981年11月生まれ。 言語聴覚士、旅行介助士、公認心理師、お寺の副住職、消防団員、合唱指揮者。病院勤務時代、第3子の誕生を期に5か月の育児休暇を取得。大いに自らの価値観が見直されるきっかけになった。 2022年、病院を退職し、個人事業として開業。病院・訪問リハビリ・塾講師などを兼務しながら、失語症者の支援が自分の主な役割だと感じている。
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