ST/言語聴覚士

言語聴覚士という仕事は、知名度低いわりにレンジが広い件。

「言語聴覚士」という仕事を知っていますか??
自分で言うのも嘆かわしいことですが、
おそらくリハビリの職種の中ではもっとも知名度の低い職種です。

「リハビリ」の専門職を挙げるとすれば、
・理学療法士(PT)
・作業療法士(OT)
が、やはり花形というか、メジャーなところだと思います。
言語聴覚士は、このPTやOTに比べると、歴史も浅く、人数も少ないのは事実で、

1965年 理学療法士および作業療法士法 施行
1966年 第1回国家試験

に対して、言語聴覚士は
1998年 言語聴覚士法 施行
1999年 第1回国家試験
となっており、30年ほどの開きがあるのです。

<言語聴覚士の仕事>
働いている場所によって、得意分野は変わってくるかとは思いますが、
かなり大胆な分け方をしてしまうと、

① 発音

② 言語

③ 食事

④ 聴覚

⑤ 小児

といった分野があります。

①発音
原因は、発達からくるもの、怪我や麻痺からくるものなど様々ですが
「口の動きが不十分であることが原因でおこる発音の問題」に対してリハビリを行います。

②言語
失語症をはじめとする、高次脳機能障害(こうじ のうきのう しょうがい)という状態により、
口の動きとは別に、うまく言葉や文章が話せなかったり、理解ができなかったりする事に対してリハビリを行います。
高次脳機能障害については、必ずしもことばの問題とは限りませんが、
様々な症状を特に「コミュニケーション」という観点から分析し、支援をします。

③食事
「①発音」と近い分野ですが、口やのどの動きが不十分であることが原因で、
うまく噛めない、飲み込めないという状態に対してリハビリを行います。

④聴覚
難聴や失聴により、意思疎通が困難な場面に対してリハビリを行います。
場合によっては、補聴器や人工内耳の調整にも携わります。

⑤発達
脳性麻痺、広汎性発達障害など、幼少期からの発達の問題に関してリハビリを行います。

ただ、これらは
どの施設でもすべてをカバーしているということではありません。
病院、介護施設、療育施設などなど、言語聴覚士が配属されている場所は様々ですが、
それぞれの場所(施設)の特徴や得意とする分野によって、対応している範囲が異なります。
(ワタクシは、脳卒中の後遺症などのリハビリに多く携わっています。)
また、それぞれの施設に、言語聴覚士が何人所属しているかもまちまちです。
先にも述べた通り、リハビリ職の中では人数も少ない方なので、
理学療法士や作業療法士ほどの人数はいないことが多いかもしれません。

いずれにせよ、やはり未だに「そんな仕事があるんですね」と言われることもあります。
ということは、こうした言葉やコミュニケーションの問題について、
誰に相談して良いのか迷ってしまうということもあるでしょう。
なかなか支援が充実しているとは言えない状況でもあるかもしれません。

言葉やコミュニケーションに関して困ったことや悩んでいることがあれば、
ぜひお近くの言語聴覚士にご相談ください。

ABOUT ME
ひび たかまさ
1981年11月生まれ。 言語聴覚士、旅行介助士、公認心理師、お寺の副住職、消防団員、合唱指揮者。病院勤務時代、第3子の誕生を期に5か月の育児休暇を取得。大いに自らの価値観が見直されるきっかけになった。 2022年、病院を退職し、個人事業として開業。病院・訪問リハビリ・塾講師などを兼務しながら、失語症者の支援が自分の主な役割だと感じている。
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