2022年9月に個人事業を始めましたが、同時に非常勤で働くための勤務先も探していたので、開業と転職を同時進行していたことになりますが、今回の経験で、仲介業者さんに中に入ってもらう事の大切さを、初めて知りました。
これは、是非、転職するコメディカルの皆さんには知っていてほしいと思いましたので、まとめました。
私は、15年病院で勤務し、今回が2度目の転職でした。
・1度目は、自身で飛び込みで電話をして、単独で採用
・2度目は今回、仲介業者(私は、PT・OT・STワーカーさん)を利用しました。
私も、今までは転職支援サービスを使う意義を、全く感じていなくて、時々かかってくる営業の電話に、むしろげんなりしていたほどでした。
病院にせよ訪問にせよ、HPとか見たら、求人書いてあるし、直接行った方が早いし、受け入れ側も、紹介料払わなくて済む分喜ばれるだろう、くらいに思っていました。
が、実際にお願いしてみえると、考えは一転。
絶対、必要!!
その理由は細かくは、この後述べるとして、決定的に感じたのは、転職活動が
「個人」 VS 「組織」
から
「組織」 VS 「組織」
に変わる事です。
単に、求人のある施設の斡旋をしてくれるということだけではないんです!!
私たちSTを始めとしたコメディカルが、転職サイトなどのサービスを利用すべき理由。
それは
➀ 待遇の確認や、必要に応じて可能な範囲で交渉もしてもらえる
➁ 条件を見て、内定を断ることも代行してくれる
➂ 採用試験に同席してくれること(も)ある
➃ 再就職手当など、公的な給付金の対象となる場合がある
この4点を是非とも知っていただきたい!
➀待遇の確認や、必要に応じて可能な範囲で交渉もしてもらえる
私の経験で恐縮ですが、今回私はちょっと特殊な条件で職探しをしていました。
・週1~2回の非常勤
・時給〇〇〇〇円以上
・個人事業で開業しているので、それを許容(副業可)してくれる
といった感じです。時給に関しては、当初はあまりこだわっていなかったのですが、とある面接でなかなか厳しい条件を提示されたのをきっかけに、担当者さんと相談して、途中からある程度提示するように追加しました。
私の担当に入ってくれた方は、元はPTとして働いていたそうで、現場のことも比較的ご存知のご様子で、地域的な相場と、私自身のキャリアでどの程度を提示するのが良いかを、まあまあ妥当なラインを見極めてアドバイスをしてくれました。
で、
その条件で案件を探すときに、こちらに提示してくれるまえに、求人もとに交渉をしてくれたりもしたのです!
たとえば、オフィシャルな求人表で時給1,200円になっているところを、1,400円なら考えます、というように。(どうやって交渉してくださったかはわかりませんが、予め話は通っていました。)
交渉ベタというか、そういう事に慣れていない私にとっては、とてもありがたいことでしたし、直接給与の交渉というのは、正直その後(入職後)の関係にも陰りがでそうで、なかなか難しいと思うのです。
➁ 条件を見て、内定を断ることも代行してくれる
今回私が利用させていただいたのは、PT・OT・STワーカーさんでした。
面接を受けてからの流れは、
1)内定が決まった時点で、初めて細かな雇用条件が提示される。
2)それを見て(面接までの間に話していた内容と相違ないかどうかなどを確認)、内定を受けるかどうかを最終的には判断。
3)受諾して、初めて直接求人側と話をする(連絡先の交換など)
という感じです。
つまり、内定を受けると確定するまでは、相手側とは直接のやりとりを行いません。
面接時には、名前や大まかな居住地程度は伝わっているようですが、詳細な住所や電話番号などは記載のない履歴書をお渡ししていました。
なので、内定が決まり、雇用条件を書面で受け取った時点で、改めて担当の方と相談することができますし、折り合わずお断りをする時も、直接やりとりをする必要はありませんでした。
私も、いくつか面接を受けたうちの1つは、条件が折り合わずという事がありましたので、ここを仲介してもらえるのはとても負担が軽くなりました。
➂ 採用試験に同席してくれること(も)ある
これは、必ずということではないようですが、私の場合、最終的に決定した職場の面接を受けた時には、同席をしてもらいました。
初めは「そんな、子どもじゃないんだから、面接ぐらい1人で受けますぜ」と、思っていたのですが、ここで、同席していただいて、➀の条件の齟齬があった時に確認をしてくれるということがありました。
面接時、相手は3~4人、しかも役職ばかり。
対して、こちらは1人となると、やはり勢いや雰囲気にのまれてしまって、細かな条件などの話が出た時に「え?!」と思った時も確認でききらないことがありますよね。
(ワタクシは、そうなのです…。)
また、面接を受けた時に感じたのは、面接までは、「私」という個人を、「紹介業者さん」という後ろ盾があるから信用してもらえているということです。
全く見ず知らずの人間で、しかも「開業する」などと言っている変わったSTが、ぽんと面接に来たら、確かに受け入れる側としても警戒しますよね。
それを、紹介業者さんという、信用のある会社を挟むことで、施設側としてもリスクを軽減できるメリットがあるのだなと感じました。
面接の中で、私の担当者さんと確認したりお話をしている場面もありましたし、面接では、あくまで私の人となりを確認するのが目的。条件のすり合わせは、基本的には施設側と担当者さんがするもの、ということになっているようでした。
➃再就職手当
皆さんは、「失業保険」「失業給付金」については、聞いたことがあると思うのです。
しかし、正直、医療職にとっては、それほど縁のないものだと感じていませんでしたか?
今まで、私は、転職に関しては「条件を探す」ことが一番大きなポイントであると感じていました。なので、退職から、次の就職先が決まるまで、失業給付の対象になる可能性については、あまり大きな懸念ではありませんでした。
そんな私が、今回転職するにあたって初めて知ったのが「再就職手当」というものの存在です。
就職促進給付
雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」などがあります。
その概要は以下のとおりです。
再就職手当について
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合(雇用保険の被保険者となる場合や、事業主となって、雇用保険の被保険者を雇用する場合など)に基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額((注意1) 一定の上限あり)となります。
給付率については以下のとおりとなります。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)。
で、この再就職手当、失業した人がなるべく早く再就職することを促すことを目的にして設定されていますので、もちろん早い方が良いのですが、
「給付制限がある場合」
受給資格の決定日から数えて7日間の「待機期間」を経過してから1ヵ月間は、ハローワーク又は職業紹介事業者の紹介で就職した場合が対象となる、という条件があるのです。
これを考えた時に、特に、早期に再就職をしたい人ほど、紹介事業者の紹介を受けることが必須条件となるのです。
時間がかかっても良いという方は、この限りではありません。ここで、流れをざっと押さえておくと
・退職(離職票の発行をお願いしておく)
・離職票が届く(退職日翌日から10日以内に発行するのがルール)
・ハローワークに行って失業認定を受ける
・受給資格の決定
・受給資格決定日から数えて7日間は待機期間となるため、この間に再就職した場合には支給の対象にはならない
・待機期間経過後、1ヵ月の間に再就職する場合、ハローワークの求人又は紹介事業者の紹介で再就職した場合に、再就職手当の支給を受けることができる(条件によっては支給対象外となる場合もある)
退職の時点で、既に次の就職先が決まっている場合は、対象になりませんが、退職してから就職先を探す、かつ、なるべく早く決まりそうという方は、この「再就職手当」の支給対象となる可能性があります。
医療職で病院や施設で働いていると、こういう制度にうとくなりがち(ワタクシは、苦手でした)なので、こういう制度があるという事を知っているだけでも、大きなアドバンテージになるのではないかと思います。
再就職手当の支給のために、わざわざ、就職日を後ろ倒しするという必要はないと思いますが、知らないと使えない制度ですので、対象となりそうな方はぜひご一考を。
さて、これはちょっと蛇足的かもしれませんが、
時々、施設によってはこんなことをうたっている所もあるそうです
職業紹介事業者を介さずに、採用に至った場合には、就職祝い金として〇〇万円支給します!
え!マジで!?行く行く!!
って、なりますよね。
でも、これ、ちょっと待った!!
「紹介業者を介さずに就職してくれたら〇〇万円!」
のココロは、なんだろう?採用する施設側の美味しさって、何?と考えてみると、これは単純に費用対効果の話です。
私は、病院時代に採用する側にも携わっていたことがありますが、転職サイトなどを経由して採用が決まった際、業者に対しては「採用した人員の年収(想定)の〇〇%を成功報酬として支払う(30~50%くらいが主流のらしい)」という取り決めになっていることが多いようです。「年収」というのがポイントですね。
例えば常勤の言語聴覚士の年収が350万だったとすると、採用が決まったSTの年収プラス多いと1.5倍くらいのコストが初年度にはかかるということになるわけです。
(30%なら105万円、50%なら、175万円!!)
それを考えれば、「祝い金」と称して20万程度支払っても、全然低コストで済むというカラクリです。
しかも、相手は個人なので、待遇面の条件にあれこれ交渉してきたとしてもある程度強気に出ても押し通せる可能性が高い。最悪、採用しなければいい。…と、非常にうがった見方ですが、そんな意図が見え隠れしませんか??
祝い金20万円は、おいしそうに見えますが、
この「再就職手当」が受けられたら、受給残日数によっては、それなりの額になるという、可能性もあります。
大きな組織に挑む、転職希望者の強い味方!
さて、そんなこんなの紹介業さんのサポート、転職をしたい個人にとっては、かなり嬉しいこと尽くしではありませんか?
利用するに際して、求人者には費用は発生しません(職業紹介事業に関わる法令の中に、そういうルールがあるらしいです)し、それほどのデメリットは、あまり見当たらないように思います。
そして、本来は、採用する施設側としても、費用は確かにかかりますが、飛び込みで来る人を細かく見極めることを考えるとメリットがありますよね。
紹介業者さんに私たちが登録する時には、職歴や、意向も含めて、ある程度の条件のコミュニケーションを取った上で斡旋をしてもらいます。個人で飛び込みで来る人材よりは、その人物を客観的に見れる紹介業者が間に入ってくれた方が、得られる情報も多い。
そうした事に、コストをかける気があるかどうか?という企業姿勢があるかどうか、ということでもあるかもしれません。私個人としては、人材を集めることにちゃんとコストをかける意識があるところの方が、職場としては安心なのではないかと感じています。
なので、よっぽど懇意にしている再就職先があって、口約束でもうバッチリ!
という人以外は、是非ともこうした紹介事業者を頼ってほしいです。
そんなこんなで、転職をしようと考えているコメディカルの皆さんは、是非とも、紹介業者さんのご利用をお勧めします。そして、実は、就職した後のサポートがあるのも嬉しいサービスだったりします。
・再就職したはいいけど、当初の条件と違う
・待遇は悪くなかったけど、いざ入ったら人間関係ギスギス過ぎて草
・入ったら、ブラックだった
などなど、続けるのがしんどい!という事がないかも聞き取りをしてくれています。
こうした情報提供は、今後転職を希望する方々への大切な材料ともなりますし、こうした情報が蓄積することで、転職する側も、採用する側も、リスクの少ない転職・採用活動ができるようになるのではないかと思っています。
私も、採用試験を受けた後の感想など、担当者の方が聞いてくれたのは、自分の考えを整理するという意味でもとてもありがたかったですし、少し変わった条件での就活でもあったので、間に入ってもらう事で、双方にとって良い形で再就職を決められたのではないかと思っています。